英語学習を始めようと思う初心者の中には、すぐに語学留学という方法を選ぶ人が一定数います。私の周りにも何人もいました。
私の意見ですが、英語力が低い状態でいきなり留学をすることは全くお勧めしません。下手したら貴重な時間、お金を無駄にする可能性すらあります。
もちろん、留学の中には初めて親元を離れ、母国を離れ、「海外で生活する」という大きなイベントを経験するという意味があり、それを目的として渡航するのであれば問題はありません。
若いうちはどんどん行けばいいのです。語学留学自体を否定しているわけではありません。お金と時間があれば海外の生活や文化を見ることは素晴らしいことです。
しかし、「英語学習を目的」とするならば、まずは日本において基礎力を固めてから留学したほうが、確実に実りが多くなります。
日本で英語が話せない人は、海外でも話せない
日本人は多かれ少なかれ基礎教育において英語を学習しており、それでも英語を話せないから「日本にいてもダメなんだ。やはり英語圏で生活をしないと」という発想になりがちです。
それを英会話学校や、語学留学斡旋会社が「本場に行けば英語を話せるようになる」というPRを行っているため、ついつい引っかかってしまいます。
日本で英語が話せない人は、海外でも話すことはできません。シンプルなことです。
日本で英語が話せないのに、パスポートを用意して飛行機に乗っている間に、どうやったら英語が話せるようになるのですか。
機内で外国人CAと片言の会話をしたところで何も得ることはありませんよ。
3年も4年も住むのであれば話は変わってきますが(その場合もはや留学というより移住だろう)、長くて1年、一般的には3ヶ月~6ヶ月程度でしょう。下手したら1ヶ月以下のプチ留学まで存在する。
1ヶ月なんて、ただのバカンスですよ
そして現在英語が話せない人が短期間滞在した場合、容易に陥ることは「ほとんど言葉を話さず帰ってくる」ことです。だって英語が話せないのだから仕方がない。
留学先でも、勉強した分しか英語力は伸びない
語学留学の場合、おそらく現地でも語学学校に通うことになるので、毎日英語の授業を受けるわけです。そりゃ少しは英語力が上がるでしょう。だって勉強するのだから。
でもさ、その英語の授業、日本で受けることはできませんか?
日本の地方で、人すらあまり住んでいないところに在住している人は難しいでしょうが、県庁所在地レベルの街が近くにある場合、英語の授業なんかどこでも受けられますよ。
そして語学留学先でありがちなもう一つの出来事は、同じレベルの英語力を持った日本人と仲良くなるということ。これがさらに留学の質を下げることになる。
どうしても海外での生活は不自由するし、不安もあるから日本人同士くっ付いてしまいがちなんですよね。
あと、なぜか登場する英語が得意な現地在住の日本人が現れても要注意です。
その方は何かしらの理由で滞在しているので、英語が得意かもしれませんし街にも詳しいかもしれません。
こういう人と過ごすようになれば、語学留学は確実に失敗します。
結局話せる人にすべて任せ、自分は英語を話すことを止めてしまうので、もう何をしに行ったかすら分からない状況になる。
友達が出来ることは素晴らしいですが、せめて他の言語を母語とする外国人と仲良くなるならまだしも、留学先でただ日本人と過ごしていたなんて、もはや旅行でしょう。
語学留学を成功させるコツ
まずは日本で英語力を高める
日本で英語を勉強するのが退屈なのは分かります。でも日本で勉強できないようでは、海外でも大してできませんよ。結局どこにいても勉強するのは自分なわけですから。
はじめは現地の生活になれるのに精いっぱいで、勉強どころではないでしょうし
理想は英検準1級、TOEIC700~800点ぐらいを取得できるようになってからだと考えていますが、それは難しくてもせめて英検2級、TOEIC600点は取れるようになってからにしましょう。
繰り返しますが、留学をするなと言っているわけではありません。
貴重な経験が出来ますし、真剣に学ぶのであれば朝から晩まで英語を使わざるを得ない環境にいたほうが早く上達ことは間違いありません。
時間とお金に余裕があって、何度でも渡航できる人は細かいことは気にしなくていいでしょうが、恐らく1回しかない貴重なものでしょう。
それならできるだけ多くのものを得るために、まずは日本で英語の基礎力を固めましょう。
思い立ったらすぐ行きたいのは分かりますが、ある程度の英語力を備えてからでも遅くはありません。
現地では日本人と接触しない
これはよく言われていることです。中国人程世界中にコミュニティが出来上がっているわけではありませんが、多かれ少なかれどこにでも日本人は存在します。
特に仕事で滞在している人の中には英語が堪能な人も多く、現地で留学生の面倒を見ようとしている志の高い人もいます。
でもそういう人に頼ってしまうと、語学留学は単なる旅行で終わってしまいます。辛いかもしれませんが、できるだけ日本人以外の外国人と接するようにしましょう。
現地でも勉強する
異国の空気を吸っているだけで英語が上達するならありがたいですが、どこにいても語彙は増やさなければいけないし、文法の理解を深めなければ語学力は上がりません。
言語の根幹は語彙と文法ですよ。
ついつい遊んでしまいがちですが、現地の語学学校でみっちりと勉強し、宿題や予習もしっかりこなしましょう。
私の知っている人で留学を成功させた人は、やはり現地でとにかく勉強をし続けていました。そういう人は半年でもかなりレベルアップしています。
管理人の留学経験について
私は20代半ばでドイツの田舎町に約半年ほど留学しております。
英語を勉強していながらドイツなのかいっ!って思われそうですが、大学の交換留学システムで提携校の中で一番魅力があった国がドイツだったというだけなんですね。
ちなみに留学先の大学の授業は英語で行われておりましたが、ドイツ語の授業も並行して受けており、ちゃんと最低限の単位は取得して帰ってきています。
私のポリシーですが、現地に住むのであれば最低限「その国の言語を学ぶ姿勢」を見せなければ失礼だと考えていたので、結構ドイツ語学習にも力を入れていました。
さすがにゼロから半年で上達するレベルなんて知れているけどね…あ、よく考えたらこれが英語初心者が飛び込みで留学した場合に得る英語力か(*’▽’)
渡航時の英語力は既に英検1級、TOEIC960点取得
大学在学中は英語の勉強ばかりしており、在学中に英検1級を取得しているので、むしろ今よりよほど英語力が高い状態で留学をしています。
田舎町で一般的な留学で選ばれるようなところでは無かったので、現地では留学生はその他の欧州から留学してきている人たちばかりでした。
ちなみにそこで知り合ったイタリア人とは、10年以上経った今でも交流を続けています。
ある程度英語力を付けてから挑んだ留学でしたが、それでも欧州の若者が話す流暢な英語についていくのはかなり大変でした。
周辺の留学生で日本人が私だけだったこともあって、日本の文化や生活ついてどんどん質問されるけど、簡単なものは答えられるけど「宗教的な話題」や、「なぜ先進国で死刑制度があるんだ」など、そんなことまで突っ込んでこられると全く歯が立たない。
日本語で説明するのも難しい話題ですけどね・・・
日本人との交流はほぼ無く過ごす
現地で同い年の日本人男性と知り合い、彼も英語学習に苦労した経験を持っていたため意気投合して未だに付き合いは続いておりますが、その人以外の日本人と接触することはほぼありませんでした。
彼は私の留学先で大学院生をしていたので、私のように時間を持て余していませんでしたので時々夜バーで飲む程度の頻度でしか交流していません。その他の時間はほぼ他の留学生と行動をしていました。
たった半年間ではありましたが、恐らく私の人生で一番英語力が高くなった時期でしょう。英語でしかコミュニケーション取れないんだから。
さいごに
私は留学で得た経験や、上述の日本人、イタリア人と知り合えたことに感謝していますし、行ってよかったと思っています。
留学にはそれなりのお金と時間が必要なので、その貴重な機会を無駄にしないためにも、しっかりと日本で英語力を高めてからチャレンジしましょう。
日本で勉強できないのに、留学したら勉強が捗って仕方がない!なんてことはありません。結局勉強するのはあなた自身なのだから。
勢いだけで飛び込んでも得るものは少ないですよ
コメント
hachi様、貴重な金言の数々、傾聴に値いたします。
日本の英語教育を専ら批判する向きもあります。文法から教えるからダメだとか。生活に困らない程度か、ビジネスできるレベルか、入試のための英語力か等、想定も人それぞれがそれぞれの考えで言います。
求める希望は会話できる事だと思いますが。
まず耳が英語聞き取れません(泣)覚えたフレーズならわかるけど。
先日久々に乗った新幹線での到着アナウンスに、ビックリ!
カタカナ英語にアクセントも日本風。マジかって。
帰りの便で降りる時ドア付近にいたら、乗客の女性が「英語もうちょっと勉強した方がいいね。」と話していて、思わず返事しそうになりましたw
今のオバサン世代は海外に憧れもあったし、発音はもう少し意識して教えられたと思います。話せないけど
うさみみ 様
コメントいただきありがとうございます。
私もネイティブが自然に話し出すと全く耳が追い付きません(涙)
これはもはや学習をスタートした時期が遅すぎたのかなと諦めているところもあります。
わざわざ「日本語風」にして話す英語だけは、誰も得しないので止めてほしいですね。
マニュアル通りの英語なのだから、出来る限りナチュラルな英語に似せて話せばいいのにと感じます。