投資を始めたころの私のことです。当時結婚を間近に控え、独身時代に貯めた1000万円強を今後の人生のために運用しようと思い、色々とブログや本を読んで勉強した結果、「日本の高配当株を持ちづづければいいんだ!」という非常にシンプルな投資法にたどり着きます。
色々読んだ結果一番ベーシックなところにたどりついた
しかし人間のバイアスとは怖いもので、株のブログや本を読み漁っていたはずなのになぜか当時は「米国株」が目に入ってこず、「高配当日本企業への投資」が前提になっていました。
絶対米国株についても記載はあったはずなのですが、読み飛ばしていたのでしょうね。興味があるものしか読まない典型例です。
三井物産への集中投資
当時の雑誌でオススメされていた高配当株(当時配当率4%強)で、日本を代表する一流企業の三井物産を購入することに決めます。
私が生まれる前からある企業だし、今後持ち続ければ例え株価が半値になっても、10年持てば大丈夫だと確信し、1000万円のうち500万円を一気に、時間分散もせず突っ込みました。
無知って怖い。働いて一生懸命貯めた500万円を一瞬でつぎ込むなんて
投資を始めたという妙な高揚感と、「今後資産は膨らむ一方だ」という希望的観測でテンションはマックスでした。しかし早速相場の洗礼を受けることになります。
購入直後より三井物産急落
三井物産は資源関連の指標と連動することが多く、当時原油高から原油安へシフトし始めており、三井物産の株価もみるみる下落していきます。正直気分は最悪でした。
三井物産が悪いのではないのです。無知なくせに無防備に一括一極投資をする私が悪いんです。
500万円投資した三井物産株は、購入後2ヶ月ほどで₋20%、最終的には₋40%まで突入することになります。
手持ちの現金1000万円のうち半分を一括で投資してしまった私は、下落する株価に恐怖を覚え、さらにナンピン買いをすることになります。
狼狽売りしなかっただけ偉いとは思うが、下手なナンピン買いも本当に危険だった
このナンピンも更に裏目に出て、買ったそばからさらに下落し、気が付けば800万円以上三井物産に投資し、含み損400万円という投資初心者への強烈な洗礼を浴びることになります。
ほんとね・・・よく投資をやめずに続けられたと思うわ
三井物産と配当金を信じる
含み損400万円を抱えたまま結婚を迎えることになったのですが、もはやこのことは誰にも言えません。
「私が生まれる前からある企業だ。配当率も5%を超えている。絶対に回復する」とすがるように唱え続け、とにかく売らずに持ち続けようと決めました(さすがにそれ以上買い増しすることはできませんでしたが)。
その後買い増しは出来なかったもの、半ば気絶している間に株価は回復し、1年半ほどでようやく買値まで戻ります。
含み損が消えたときの安堵感と言えばもう…
暴落時のホールドも難しいが上昇時のホールドも同様に難しい
初心者にありがちな行動ですが、400万円も含み損を抱えて低迷していた時期が長かったため、株価が回復し含み損が消えた瞬間、ついつい思ってしまうことがあるわけです。
「まずは一旦売却し、仕切り直しだ…。今売れば損は無い」
下落し始めたら売れ、上昇し始めたら買え、頭と尻尾はくれてやれなど、格言は勝手なことを言いますが、初心者は現実に大金を動かすとそんな簡単に売買できません。
含み損が消えた瞬間、ずっと含み損に耐えて来たくせに三井物産を三分の一程売却することにしました。これで気が楽にはなりましたが、株価は見事にその後も上昇を続けます。
全部売らなかっただけマシだと思いますが、さんざん企業を信じる、配当金を信じると唱えていたくせに、含み損が消えた瞬間に処分するとか本当にアホですよね
三分の一しか処分はしていないので利益は十分に出ましたが、せっかく一年半も含み損に耐えたくせに上昇時の最大利益は逃しました。
「購入時には頻繁な売り買いはしない、子供に相続させるつもりで買う」なんて思っていましたが、実際そんなにうまくは行きません。ホールドって難しいんですよ。
上昇も下落も経験が必要
機会損失はありましたが幸い致命傷は避けることができ、その後はブログや本で読んだことを参考にし、安定の米国株銘柄、インデックス投資を中心にシフトしていきました。
独身時代に一生懸命貯めたお金が半分近く消えたときには、「あんなに辛いことを乗り越えて働いて稼いだお金が…」と悲観的になりましたが、それでもまだ投資金額が少ないうちに経験しておいてよかったと思っています。
今投資を始めていない人で、「暴落待ち」をしている人は、少額でもいいからとりあえず買ってみることをオススメします。机上の空論で想像しているよりも、自身が必死に貯めたお金が減ったり(増えたり)することがどれだけ精神の安定を歪めるか、一度経験したほうがいい。
まずは50万円ぐらい注ぎ込んでみたらどうでしょう。このぐらいの金額なら集中投資して、増えても減っても人生に大きな影響はありません。しかし、給料の2か月分ぐらいはあるであろう大金です。
この大金が増減することで、自身の感情にどのような影響を与えるか体験できます。
長期で持つと決めていても、50万円が55万円になっただけで「売りたい」という感情がでてくるものです。思っているよりも持ち続けることは難しいです。
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