英会話学校の広告には「講師はみんなネイティブイングリッシュスピーカー。だからあなたの英語力はぐんぐん上達」みたいなことが書かれています。
本当にネイティブイングリッシュスピーカーに学べば英語はぐんぐん上達するのでしょうか。逆に、ネイティブイングリッシュスピーカーに学ばないと英語は上達しないのでしょうか。
そんなことはありません
ネイティブイングリッシュスピーカーとは
まずはじめに、ネイティブイングリッシュスピーカーって何でしょう。
細かなことを言うと「母語」「母国語」「第一言語」と色々ありそれぞれ厳密には違うのですが、頭の中で考えるときに使う言語が英語の人たちのことをネイティブイングリッシュスピーカーとここでは定義します。
そんなネイティブイングリッシュスピーカーですが、一体地球上にどれぐらいいるんでしょうか。
純粋なネイティブイングリッシュスピーカーは人口としては4億人程度。
第二言語として話す人も含めると、イングリッシュスピーカーは20億人程になるようなので、本当のネイティブは意外と少ないものなんですね。
余談ですが、日本語を母語としている人口は1億2500万人で、2019年時点で上位9位になります(文科省調べ)。
1位は中国語です。そりゃ人口が多いからそうなりますよね。日本語を母語とする人も、ほぼ日本の人口とイコールで、今後どんどん減少が予想されます。
さて、余談が長くなりましたが…そんな貴重でありがたいネイティブイングリッシュスピーカーに習えば英語がぐんぐん上達…というわけには行かないのです。
ネイティブという言葉に惑わされず、本質を見ましょうね
ネイティブイングリッシュスピーカー ≠ 良き英語講師
結論を言うと、母語として英語を話す人全てが良き英語講師になれるわけではありません。当然ですよね。
もちろんネイティブがだめだというわけではなく、「ネイティブ講師だから英語がぐんぐん上達」みたいなのはおかしいってことです。
残念なことに日本の英語学習にはまだネイティブ神話が残っています。何となく外国人がスタイリッシュな格好で講師をやって、素敵な笑顔で話しかけてくると自分が上達しているような気分になるのでしょうね。
分かります。私も当時そうでしたから(笑)
人に言語を教えるのであれば、まずは自分自身がその言語をしっかり勉強する必要があります。
しかし、一般的な教養レベルの英語圏の人は他言語を真剣に学ばない傾向にあります。自身が話している言語が世界で通じるから、学ぶ必要性が少ないからです。
それだけ英語の力、英語圏の国力が高いのでそれはそれで全くかまわないのですが、英語講師として適任かというとそれは絶対に違います。
日本語を外国人に教えられるかを考えれば分かる
考えてみてください。皆さんはネイティブジャパニーズスピーカーです。皆さんが特に日本語の専門教育を受けていないとして、外国人に日本語を教えられますか。
日本語を母語として話せるからといって、その言語を人に教えられるということではないのです。
自分たちは理屈ではなく感覚で使用しているので、理屈で説明してくれといわれても出来ないのです。こうやって置き換えれば答えが出るでしょう。
例えば、「なぜ日本人は生命体と非生命体を分けているのか?」と聞かれても多くの方は??って感じでしょう。これは日本語を学ぶ外国の友人からの質問でした。日本人は無意識に生命体と非生命体を意識して話をしています。
- 犬がいる
- 犬のおもちゃがある
- 犬の死体がある
これ、もし「犬の死体がいる」になると途端にゾンビっぽくなりませんか。これは感覚的に刷り込まれているもので意外とこういうことって指摘されないと気付かないんですよね。
人に言語を教えるというのはこういう疑問も答えられる必要があります。
言語にはこんな細かなルールが山ほどあり、母語として使う人は無意識で使えます。だからと言ってそれを人にわかりやすく説明できるというわけではないですよね。
なぜそうなるかを人に分かりやすく説明できるから「良き講師」なんですよ
まとめ
世界に4億人いる貴重なネイティブイングリッシュスピーカーが、必ずしも優れた英語講師にはなりません。
ちゃんと言語を勉強していない人は良き講師にはなり得ません!あなたを「楽しい気分、勉強した気分」にするだけです。
初級~中級の人は、英語を学びたいなら日本語がある程度話せる英語ネイティブか、日本人で英語を真剣に学習した人に習うのがいいです。その場合ギャラは跳ね上がりますが、本当の良き講師はギャラも高いのです。当然です。
自分がまともに英語を話せないのに、まともに英語を教えることが出来ないネイティブと接したところで得るものは少ないですよ。
英語を学習し始めの初級の頃に、日本語を全く知らないネイティブ講師に拘ってしまうと学習が遠回りになる可能性もあります。
彼らは質問に対して「慣れだから大丈夫!」、「たくさん練習しましょう!」としか答えません。「答えられない」が正しいでしょう。
それはそれで一理あるのですが、疑問の解決にはなりません。新しい言語を学ぶときって、疑問だらけなんですよ。
「なぜ?」ばかりに気を取られて先に進めないのはよくないですが、真剣に学習したいのに「なぜ?」が答えられない講師に習うのはよくないです。
ただ楽しくネイティブと話す、自分の英語力を試したいというのなら、英会話スクールに行かなくてもその辺のバーで探すのも一つの手です。
英会話産業が作り出したネイティブイングリッシュスピーカー神話、これ何とかならないものでしょうか
コメント